10月下旬から、GMOインターネットの「お名前.com」がサイバー攻撃を受けたという報道が続いています。ところが見出しだけでは「お名前.comがやられた」という印象が先に立ち、ドメインもサーバーも全部危ないのか、それとも一部なのかが分かりにくいと感じました。
GMOグループはサービスの幅が広く、「お名前.com」というブランド名の中にも役割のまったく違うサービスが並んでいます。そこで、公式発表と報道をもとに、時系列と影響範囲を整理しました。
※本記事は2026年10月27日午前時点の公式発表・報道をもとにしています。状況は今後変わる可能性があります。
結論:被害を受けたのは「デスクトップクラウド」だけ
攻撃を受けたのは「お名前.com デスクトップクラウド」です。FX(外国為替証拠金取引)の自動売買ソフトを24時間動かすために、ネット上のWindowsパソコンを借りるサービスです。影響の可能性があるサーバーは全プランで26,739件と公表されています(GMO公式 第2報)。
同じ「お名前.com」でも、ドメイン登録、ホームページ用のレンタルサーバー、Linux向けVPSは、今回の発表で影響範囲に含まれていません。
ブランド名は同じでも中身は別物です。レンタルサーバーは「Webサイトのファイルを置く場所」、デスクトップクラウドは「遠隔操作で使うWindowsパソコン」で、役割がまったく違います。
時系列
10月19日:発端
利用者からの問い合わせを受け、GMOが調査を始めました。
10月20日:不正プログラムを確認
一部のサーバーで不正なプログラムが見つかりました。新規申し込みと管理画面を停止しています。
10月21日:全プランのサーバーを停止
午前4時から、全プランのサーバーを順次停止し、第1報を公表しました(お名前.com 第1報)。犯人側は当初、この日の17時までに約80億円(5000万ドル)を支払うよう要求していたことが、後に明らかになっています(ITmedia NEWS)。
10月21〜22日:FX口座で不正取引が相次ぐ
「FX口座で身に覚えのない取引をされた」という報告が相次ぎました。サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報が盗まれ、悪用されたとみられています。GMOは22日に警察へ相談しました(INTERNET Watch)。
被害額が数百万円にのぼるという声も報じられています(東洋経済オンライン)。
10月24日:情報の持ち出しを認め、補償を発表(第4報)
GMOは、システムにセキュリティ上の問題があったことと、顧客情報が外部に持ち出されたことを認めました。あわせて次の対応を発表しています(GMO公式 第4報)。
- 全利用者に見舞金5,000円を支払う
- 不正取引による損失を補償する
- 新しい基盤で代替サービスを用意し、6か月間無償にする
- 政府に「能動的サイバー防御」の発動を要請する(ITmedia NEWS)
一方、犯人側は100万ドル(約1億5,700万円)を要求する声明を出しました(NHK)。
10月25日:グループ代表が謝罪
GMOグループの熊谷代表がブログで謝罪しました。社内のホワイトハッカーが事前に弱点を指摘していたのに、対応が間に合わなかったと説明しています(アスキー/Yahoo!ニュース)。
10月26日:利用者のパソコンを回収して解析
GMOの社員が全国で利用者のパソコンを預かり、解析を始めました。犯人側から「27日正午に顧客情報の公開とランサムウェア攻撃を行う」と予告されていることも公表しています(GMO公式 第7報)。
10月27日:パソコンの電源オフを要請(執筆時点)
GMOは利用者に、正午までにバックアップを取り、パソコンの電源を切ってケーブルを抜くよう呼びかけています(日本経済新聞)。
金融庁によると、26日までに国内のFX会社5社で顧客被害が確認されました(日本経済新聞)。GMOは要求には応じない方針です。予告が実行されたかどうかは、執筆時点ではまだ分かっていません。
グループ内の他サービスはどうか
| サービス | 状況 |
|---|---|
| お名前.com デスクトップクラウド | 被害あり。全プラン停止中(第2報) |
| FX会社・証券会社(GMO外) | 盗まれたログイン情報が悪用され、金融庁によると国内のFX会社5社で顧客被害を確認(日本経済新聞) |
| GMOクリック証券 | 自社の取引サービスで起きた件ではなく、関連する不正操作は確認されていないと公表(同社お知らせ) |
| GMOペイメントゲートウェイ | 本件による不正アクセスや漏えいは確認されていないと公表(同社お知らせ) |
| カード等の決済情報 | 別の基盤に保管しており、影響なしとGMOが説明(BleepingComputer) |
| ドメイン・レンタルサーバー・Linux VPS | 公式発表の対象は「デスクトップクラウド(全プラン)」のみで、これらのサービスは記載なし(GMO公式 第2報) |
なお、「ConoHa WING」でも9月に別の不正アクセスがありました。今回の件とは別の事案です(ScanNetSecurity)。
デスクトップクラウドを使っていた方へ
今回やっかいなのは、被害がクラウドの中だけで終わらない可能性がある点です。クラウドに接続していた自宅のパソコンまで狙われる、と犯人側が主張しています。
利用者の方は、GMOの案内(GMO公式 第6報)に沿って、次の対応をしてください。
- フルスキャン:接続に使ったパソコンを、クイックではなくフルスキャンする
- オフラインでのバックアップ:ネットから切り離した外付けディスクなどに、大事なデータを保存する
- パスワードの変更:安全な別の端末から、FX・証券・メールなどのパスワードを変更し、多要素認証を有効にする
- 不審な連絡に応じない:「被害金を取り戻せます」といった、お金を求める連絡は詐欺の可能性があります
もう一つ大事なのは、パソコンを慌てて初期化しないことです。調査に必要な痕跡が消えてしまいます。ご不安な方は、当店でもパソコンの点検についてご相談をお受けしています。
一方で、お名前.comのドメインやホームページ用サーバーを使っているだけなら、今回の発表を見る限り、直接の対象ではありません。ただ、パスワードの使い回しをやめるのは、どんな場合でも有効な対策です。この機会に見直してみてください。
参考・出典
公式発表
- お名前.com:第三者による不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(第1報・10月21日)
- GMOインターネットグループ:不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(第2報・10月22日)
- GMOインターネットグループ:連結子会社の提供サービスへの不正アクセスに関するお知らせ(IR・10月23日)
- GMOインターネットグループ:サイバー攻撃について(第4報・10月24日)
- GMOインターネットグループ:ご利用のお客様へ改めてのお願い(第6報・10月26日)
- GMOインターネットグループ:現在の対応について(第7報・10月26日)
- GMOクリック証券:不正アクセスに関するお問い合わせについて
- GMOペイメントゲートウェイ:不正アクセスにつきまして
報道・解説
- 日本経済新聞:GMO、顧客にパソコン電源オフを要請(10月27日)
- 日本経済新聞:GMO不正アクセス、FX5社で被害(10月27日)
- ITmedia NEWS:犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告(10月27日)
- ITmedia NEWS:GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請(10月24日)
- INTERNET Watch:GMO、サイバー攻撃で詳報
- NHK:ハッカー集団 GMOに27日期限で100万ドル要求(10月26日)
- 東洋経済オンライン:熊谷代表が「人生の全てを賭ける」と断言した意味
- アスキー(Yahoo!ニュース):GMO熊谷代表、不正アクセスで謝罪
- ビジネス+IT(Yahoo!ニュース):全利用者に5,000円 不正取引も補償
- BleepingComputer(英語):Onamae Desktop Cloud hacked
- ScanNetSecurity:ConoHa WING byGMO に不正アクセス(別件)
【ご注意】本記事は、2026年10月27日午前時点で公表されている公式発表および報道をもとに、当店が独自に整理したものです。本件は現在も調査・対応が進行中で、情報が日々更新されています。被害の範囲や対象サービス、補償内容などは今後変わる可能性があります。
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